給料から引かれてるよくわからない税金、“住民税”。
これってどうやってどういうもので、どうやって計算されているかご存知ですか?
私もファイナンシャルプランナー(FP)の学習をするまでは全く知りませんでした。
税金ってすごくわかりにくい、給料からたくさん引かれているのはわかるけれど、
具体的に何が引かれているのかわからない!という方も多いはず。
今回は給料から引かれる税金の一つ、住民税について解説します。
ふるさと納税とも密接に関係している住民税について是非理解を深めてくださいね。
この記事はこんな方におすすめしています。
- 給料からいっぱい引かれて手取り少ないのなんで!?という新米会社員さん
- 引かれてるのはわかるけどこの金額どこから出てくるの?という方
- 住民税って何?なんとなく知りたいよって方
当記事ではそんな方のために、
- 住民税って何?
- いつ払うの?
- いくらくらい払うの?
といったところについて、シミュレーションも交えながら解説していきます。

1.住民税ってなぁに?
住民税とは1月1日現在に住んでいる自治体に対して支払う地方税です。
会社員の方は特別な場合を除き毎月給与から天引きされていますので、
気に留めた事が無い方も多いのではないでしょうか。
一言に住民税と言われていますが、
実際は次の2つにわかれています。
- 都道府県に収める都道府県民税
- 市町村に収める市町村税
まとめて徴収されますので給与明細では”住民税”とひとくくりにされています。
さらに、都道府県民税と市町村税それぞれで次の2つにわかれています。
- 所得(稼ぎ)による差の無い均等割額
- 所得(稼ぎ)が高いほど高くなる所得割額
これらについてもひとくくりに”住民税”として徴収されています。




ふるさと納税に関係するのは所得割額の方です
2.いつ支払うの?
住民税は
- 1月1日現在に住んでいる自治体に対して
- 前年の1月1日~12月31日の所得金額を基に算出された金額を
- 5月頃に送付されてくる住民税の決定通知書に従って
- 翌月6月~翌年5月まで同じ金額(端数は6月にまとめられる)を支払う
図解するとこんな感じです。







ある年に爆発的に所得が増えて、翌年の所得がゼロやったらどうなると思う?




えっ…まさか収入無いのに税金払わなあかんの?




そういう事!感覚的に住民税は遅れて払うイメージやから所得の振れ幅大きい人は注意しやなあかんで!
3.いくらくらい支払うもの?
住民税の納税額は均等割額と所得割額の合計になります。
順番に見ていきましょう。
Ⅰ.均等割額
均等割額については簡単で理解しやすいです。
個人の稼ぎの多い・少ないに関わらず
- 都道府県民税で3,500円
- 市町村税で1,500円
の計5,000円が課税されます。自治体によって多少多くなります。




ただし、生活保護を受けていたり、所得が一定以下の場合は免除となります。
Ⅱ.所得割額
一言で言うと課税所得の10%の金額が課税されます。内訳は
- 都道府県民税で6%
- 市町村税で4%
これらを合計して10%の課税です。
図にするとこんな感じです
ここで問題になるのは、そもそも課税所得がいくらになるのか?です。
課税所得は住民税の決定通知書に記載されています。
課税標準ブロックにある総所得のことです。




住民税の決定通知書は毎年5月頃に送られてくるよ
この金額は1年間の収入金額がわかれば算出することができます。
算出方法については次項に記載します。




翌年の住民税がいくらくらいになるかがわからないと、
ふるさと納税でいくらまでお得に寄附できるのかがわからないよ!
Ⅲ.所得割額をシミュレーションしてみよう
収入金額から住民税をざっくり計算する方法を解説します。
計算式としては
(収入 ー 給与所得控除 ー 所得控除) x 税率(10%) ー 税額控除 = 住民税
となります、この流れに沿って計算していきます。
モデルケースとして、次の条件で考えます。
職業 | 年収(副業無し) | 既婚・未婚 | 住宅 | 算出年度 |
会社員 | 400万円 | 既婚 | 持ち家(住宅ローン有) | 令和2年分 |
まず、年収400万円の場合の給与所得は、
⇒令和2年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表
に当てはめると276万円となります。
(この表で年収660万円まで確認できます)
この給与所得から、数々の所得控除が行われます。
生活環境の違い(扶養している家族の有無等)によって税金の不公平感を無くすためにあります。考え方としては、本来給与所得に対して税率が掛けられて税金が算出されますが、所得控除を行う事で税率がかかる給与所得の額を減らすことができ、結果的に税金が安くなります。
- 仮に給与所得控除以外の控除の適用が一切無ければ
住民税の年額は - 276万円 x 10% = 27.6万円
- 所得控除が50万円分あったとすれば
住民税の年額は - (276万円 – 50万円) x 10% = 22.6万円




Zzz…Zzz….




おーきーろー!!
眠いのはわかるけど…




ハッ!!
所得控除
では所得控除をしていきましょう。
所得控除はたくさんありますが、次の3つについて考慮します。
- 社会保険料控除
- 配偶者控除(配偶者特別控除)
- 基礎控除
それぞれの控除について解説します。
社会保険料控除
社会保険料控除は納税者本人及びその他親族の負担すべき社会保険料を支払うと、
その支払った全額が所得控除されます。
会社員の場合は主に次の3つです。
- 厚生年金保険料
- 国民健康保険料
- 雇用保険料
- 厚生年金保険料はおおよそ年収の9.15%
(労使折半により18.3%の半分、残り半分は会社負担) - 400万円 x 9.15% = 36.6万円
- 国民健康保険料はおおよそ年収の5%
(労使折半により9.9%の半分、残り半分は会社負担) - 400万円 x 5% = 20万円
- 雇用保険料
- 上記2つに比べると額が極端に小さいので割愛します。
社会保険料控除は上記3つの合計額
36.6万円 + 20万円 = 56.6万円
※雇用保険料は少額のため割愛
配偶者控除(配偶者特別控除)
自身の所得が900万円以下で、配偶者の所得が90万円以下の場合、
配偶者控除または配偶者特別控除が適用され、最大33万円の所得控除が受けられます。
配偶者の所得が123万円以下の場合は、その所得に応じた控除が受けられます。




今回は33万円の所得控除が受けられたとします。
基礎控除
基礎控除は所得金額が2400万円以下なら43万円が所得から控除されます。
大多数の方はこれに該当するかと思います。
年収400万円なので43万円の控除が受けられます。




基礎控除は、所得を得るために活動する経費みたいなものです。
所得を得るためには衣食住などにお金を使う必要があり、これらに対する支出を経費として予め計上しているイメージです。
所得控除の合計額
56.6万円(社会保険料控除) + 33万円(配偶者控除) + 43万円(基礎控除)
=132.6万円
先ほど確認した給与所得は276万円でした。(⇒276万円が出てきたところにもどる)
所得控除後の課税所得は
276万円 – 132.6万円 = 143.4万円
276 – 132.6 = 143.4万円 これが所得控除後の課税所得です。
最後に税額控除が入ります。
税額控除
税額控除もたくさんあります。
身近なものでは次のようなものがあります。
- 住宅ローン控除
- 寄付金控除(ふるさと納税含)
- 医療費控除
今回は住宅ローン控除のみ考慮します。
住宅ローン控除では、年末に一定要件を満たした住宅ローンにて、
そのローン残高の1%を税額控除できます。
例えば2000万円の住宅ローンが残っていた場合、
2000万円 x 1% = 20万円
この金額が税額控除されます。
上記で算出した20万円全額が住民税から控除されるわけではありません。先に所得税から控除できる分を控除することになり、残った分を住民税から控除します。このため、しっかりと住民税額を計算するためには所得税の額を計算する必要があります。住民税は5月の通知までわかりませんが、所得税は会社員であれば源泉徴収票で確認できます。




注目すべきは、これは税額控除であり、所得控除ではない点です。
何が違うのか解説していきます。
所得控除と税額控除では、同じ控除額であっても最終的に納税者が負担する額は大きく変わります。
- 所得控除
- 控除した後に税率を掛ける
- 税額控除
- 税率を掛けた後に控除する
よって、先ほど算出した課税所得143.4万円に対して税率をかけ、税額控除します。
前述のように所得税との関係上はっきりとした値は出ませんので仮定となります。
仮に所得税で10万円控除できたとすると、税額控除額の残りは10万円となるので
計算式は
{課税所得 x 税率(10%)} – 税額控除
⇒ (143.4万円 x 10%) – 10万円 = 4.34万円
住民税は年額で4.34万円(月々約3,600円)となります。
これで概算は完了です。
4.まとめ
かなりざっくりと解説してきました。
ざっくり説明しても難しい内容だったのではないでしょうか。
住民税とは
- 1月1日現在に住んでいる自治体に対して支払う地方税
- 6月~5月の間に昨年分の所得に応じた金額を支払う
- 課税標準額から所得控除して税率を掛け、税額控除することで算出される
給料や生活環境が特に変わらなければ住民税はほぼ前年と同じになりますが、
就職・転職・結婚・住宅ローン・ふるさと納税等が関わると大きく変化するので注意が必要です。
住民税の計算は所得税のそれと非常に似ています(基本は同じ)。
共に正確な金額について、住民税は決定通知書、所得税は源泉徴収票で
それぞれ確認することができます。
住民税の金額によってふるさと納税がお得に受けられる金額が変わりますので知っておくと便利です(決定通知書が来るまではいくらになるか計算が難しい)。
計算はシミュレーションサイトで簡単に試算することができますが、
何が寄与して住民税額が変化するのかは覚えておくとシミュレーションでのミスを減らすことにもつながるでしょう。
今後ふるさと納税についてもこの住民税の内容に触れながら解説したいと思います
住民税について何か一つでも疑問が解決できれば嬉しいです。
もし記事の内容やそれ以外でも疑問があればお問い合わせよりご連絡下さい。
【住民税】についてサラリーマンのためにやさしく解説!! おわり
コメント