家の購入でほとんどの人が利用する住宅ローン。
一言に住宅ローンと言ってもその中身はたくさんの条件があります。
当記事ではそんな住宅ローンを構成する条件の一つ、金利の種類について解説します。
変動金利型と固定金利型の2つをシミュレーションも交えて比較していきます。
変動金利型を選択するか固定金利型を選択するかによって、
最終的に支払う金額が数100万円も変わることも十分あり得ます。
そこで、この記事はこんな方におすすめしています。
- 家づくりを計画したいけど月々の返済額や総支払額がわからない
- 住宅ローンを組みたいけれど細かい内容がよくわからない
- 変動金利型が良いか固定金利型が良いかわからない
金利について理解し、納得した上で自分に合った返済プランを立ててください。
無理のない返済計画を立てる事で家計をしっかりと安定させ、
30年~35年という長きにわたってしっかりと支払いましょう。






変動金利と固定金利の違いは何か?
住宅ローン金利には大きく分けて変動金利型と固定金利型があります。
(固定金利選択型という商品もありますがここでは割愛します。)
- 変動金利型:市場の金利に合わせて金利が変動する。
- 固定金利型:契約執行時の金利が完済まで固定される。
- 金利の変動によって、総返済額が変化する
- 申込時の金利は固定金利型より低くなる
- 金利は半年毎に年2回見直されるが、返済額の見直しは5年毎
先に言いますが、どちらが良いという答えはありません。
それぞれにメリットとデメリットがあります。
価値観によってどちらが良いという答えが変わるため、明確な回答はできません。
それぞれのメリット・デメリットについて考えていきます。




変動金利型と固定金利型のメリットとデメリットを解説
変動金利型と固定金利型のメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。
変動金利型のメリットとデメリット
変動金利型のメリットとデメリットは次の通りです。
- 固定金利型に比べて当初の金利が低い
- 固定金利型に比べて当初の月々返済額が安い
- 金利が下がると月々の返済額及び総返済額が安くなる
変動金利型の最大のメリットは何と言っても、
固定金利型に比べて金利が低いことです。
仮に住宅ローン完済までの間に金利が一定であれば、
3000万円程度の借入額でも、総返済額で数100万円の差が出る事も十分にあり得ます。
反面、最大のデメリットは、
金利が上昇すると月々の返済額・総返済額共に高くなることです。
金利が上昇することで月々の返済額が家計を圧迫し、家計が破綻してしまう恐れもあります。
安い代わりにリスクを背負う事になります。




長い返済期間の中で常に金利の動向が気になるのは精神衛生上も良くないよ!
固定金利型のメリットとデメリット
続いて固定金利型のメリットとデメリットです。
- 金利の上下があっても月々の返済額及び総返済額が変わらない
- 月々の返済額が変動しないので返済計画が立てやすい(計画が狂わない)
- 金利を気にする必要が無いので精神的に安定する
固定金利の最大のメリットは、
金利の上昇があっても月々の返済額及び総返済額が変化しないことにあります。
当初の支払額が完済まで変化しないため、支払い開始時に総返済額が確定します。
このため、返済計画やライフプランが立てやすく、その計画が狂わないことがメリットです。
一方で、完済まで変動金利型の金利が低い状態が続いた場合は、
固定金利型の方が総返済額が高くなります。




高くはなるけど安定する!それが固定金利型です
変動金利型と固定金利型はどっちを選択するべき?それぞれこんな人向け
安いけれどリスクを背負う変動金利型。
高いけれど安定させることができる固定金利型。
では、それぞれどんな人が向いているのか考えてみます。
決して間違えてはならないのは、
お金に余裕が無いから返済額を安くするために変動金利型を選ぶのは非常に危険
と言う事は先にお伝えしておきます。




あっ、そうなんやー?




変動金利型の方がよさそうに見えるけど実はそうじゃないんよね!
詳しく説明していくよ!
お金に余裕があれば変動金利型
変動金利型が向いている人はこんな方です
- 変動金利型が向いている人
- ・金利上昇のリスクを許容できる
・手持ち資金や収入が高く、月々の返済額が上がっても問題無く対応できる
変動金利型には金利上昇のリスクが伴います。
お金が無いにも関わらず変動金利を利用した場合、
金利上昇幅によってはローン返済額が家計を圧迫し、破綻しかねません。




家計の破綻は絶対に起こしてはならないよ!
変動金利で元利均等返済を選択した場合、5年間は月々の返済額が変化しない”5年ルール”があります。
また、金利が上昇した場合に、直前の返済額の125%を超えないようにされており、これを”125%ルール”と言います。
導入していない金融機関もありますので、予め確認しておきましょう。
安定志向ならば固定金利型
固定金利型が向いているのはこんな方です。
- 固定金利型が向いている人
- ・金利上昇のリスクを取りたくない
・お金に余裕が無い(手元資金や収入に対して借入額の割合が大きい)
・返済計画やライフプランを確定させたい
金利上昇のリスクを負いたくないけれどお金に余裕があるわけでもないという方は多いはず。
そんな方は固定金利型がおすすめです。
金利上昇のリスクが無いため、ローン返済をスタートした時点で総返済額が確定します。
当初の返済額で家計が保たれるのであれば、金利の上昇によって家計が圧迫されることはありません。




変動金利型の場合は金利上昇のリスクを借りた側が負うのに対し、
固定金利型は貸す側(金融機関)が負う事になります。
変動金利と固定金利の金額比較をシミュレーション
それでは変動金利型と固定金利型ではそれぞれ
- どのくらい総返済額になるのか
- 金利分でどのくらいの差が出るのか
について仮条件でシミュレーションしてみます。




大体の感覚がつかめてくると思います
試算するための条件は次の通りです。
条件No. | 借入額 | 賞与月追加支払い | 返済期間 | 金利の種類と値 | 返済方法 |
---|---|---|---|---|---|
条件① | 3千万円 | 2回/年 | 35年 | 固定金利1.1% | 元利均等返済 |
条件② | 〃 | 〃 | 〃 | 変動金利0.5%±α | 〃 |
上記の条件で算出される支払い額の詳細は下記の通りです。
条件No. | 月々返済金額 | 賞与月追加返済額 | 総支払額 | 金利のみの金額 |
---|---|---|---|---|
条件① | \73,780- | \74,004- | \36,167,636- | \6,167,636- |
条件② | \66,739- | \66,880- | \32,711,956-±α | \2,711,956-±α |




えーっ!こんなに変わるのー!




金利が変わらなければな…!±αが重要な所やでっ!
そこについて解説するよ
計算結果だけを見ればいかに変動金利の返済額の安さが魅力的か感じられると思います。
しかし変動金利の計算結果はあくまでも±αです。これがクセ者です。
例えば当初10年の0.5%変動金利が、10年後に1.7%まで上がったとして試算してみます。
条件No. | 借入額 | 賞与月追加支払い | 返済期間 | 金利の種類と値 | 返済方法 |
---|---|---|---|---|---|
条件① | 3千万円 | 2回/年 | 35年 | 変動金利0.5%±α | 元利均等返済 |
条件② | 〃 | 〃 | 〃 | 変動金利0.5%±α 10年後から1.7% | 〃 |
条件No. | 月々返済金額 | 賞与月追加返済額 | 総支払額 | 金利のみの金額 |
---|---|---|---|---|
条件① | \66,739- | \66,880- | \32,711,956-±α | \2,711,956-±α |
条件② | \66,739- 10年後から\77,038- | \66,880- 10年後から\77,345- | \36,324,869- | \6,324,869- |
ここまで金利が上昇すると固定金利の総支払額を超えました。
そして11年目以降の月々の返済額は固定金利の試算を上回ります。




こうなると資金計画が狂っちゃうんだよね
支払金額が上がった時に問題無く支払える資金があれば問題はありません。
しかし、金利上昇に伴い、支払金額が上がっていく様を見ているのは精神衛生上良くないことは確かです。
一見当面金利が大きく上がることはない気がしますが、これは誰にもわからないことです。
10年程度なら「金利はあがらない!」と高を括ることもできるでしょう。
しかしながら、30年・35年も先の事は全くわからないので金利上昇のリスクは十分にあります。




30年も時が流れると今とは全く違う世界になっちゃうよね。
まとめ
住宅ローンにおける変動金利型と固定金利型について解説してきました。
- 変動金利型まとめ
- ・固定金利型よりも当初金利が低く、支払額も安い
・金利上昇によって支払額が増えるリスクを負う
・お金に余裕が無いから変動金利型という考え方は危険 - 固定金利型まとめ
- ・変動金利型よりも当初金利が高い
・支払い開始時には総支払額が確定する
・返済計画やライフプランを立てやすい
・お金に余裕が無いなら固定金利型がおすすめ
“変動金利型の方が安いのに、お金に余裕が無い人には固定金利型がおすすめ“、
ということに矛盾を感じるかもしれません。
しかしながら住宅ローンの返済は30年~35年という長きにわたって支払い続けるものです。
家を建てて新生活を始める時にもお金はかかりますが、
子どもが進学する頃になると更にお金が必要になることも多いです。
その時に金利が上がっていて家計が破綻するということが無いように、
固定費を安定させておくということは非常に重要な事です。
それぞれの金利型のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、
無理のない返済計画を立てることを意識しましょう。
変動金利と固定金利はどっちがいい?比較シミュレーションで解説 おわり
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